細胞とウイルスの大きさを比較すると

バンコクのMERSはほぼ収束、韓国はあと一息(2015.7.8)


 バンコクに心臓の病気の治療でを訪れた方が、MERSに感染していることが分かり、ちょうど私がバンコクに行っているとき、一時的に現地では大騒ぎになりました。

 機内で多少症状があったようで、隔離対象者は100人近く。一時はどうなるかと思いましたが、搬送された病院から、さらに違う病院治療が行われ、現在快方に向かっているという報道がありました。二次感染者も現れなかったようで、バンコク当局者のすばやい対応が効を奏した形です。 

 一方最近はギリシャ問題や安全保障法制のニュースに隠れてしまった韓国のMERSですが、こちらも落ち着きつつあるものの、今日亡くなった方が2名いたそうです。

 これで合計35名となりましたが、感染者総数は186名ですから、今後亡くなる方がいなければ、致死率は18.8%です。当初言われていたほどの致死率ではないものの、内訳を見るとやはり高齢者や何らかの持病を抱えていた人が多いようです。

 ただ感染者の中ですでに退院している人もいるようで、現在治療中の人は33名だそうですから、120名ぐらいはすでに治ったということになりそうです。とは言うものの33名中9名の症状が不安定ということで、気を抜くわけには行きません。 

 また一時期は1万人以上いた隔離対象者も今は800人程度になったということですから、ようやく終息が近づいたという感じです。

 しかし当初から言われていたように、感染力は本当にそれほど強くないんだなということが、少し実感できたような気がします。だからこそ中東で発生しつつも、それが爆発的に拡がっていないのだと思います。

 ちなみにあらためて一般的なウイルスというものについて少し調べてみましたが、大きさが10〜100nm(ナノメートル)。ナノは10のマイナス9乗を表しますので、一番大きいサイズの100nmは、0.0000001(m)となり、ミリメートル単位に直すと0.0001(mm)となります。

 一方細胞の大きさは10〜100(μm)。μ(マイクロ)は10のマイナス6乗ですので、一番大きい100(μm)は0.0001(m)。すなわち0.1(mm)。

 従って単純に倍率で比較すると、細胞はウイルスの1000倍ぐらいの大きさになります。つまりウイルスを1(mm)の大きさに拡大すると、細胞は1000(mm)すなわちちょうど1(m)ぐらい。

 ということはウイルスに感染するという状態は、1(m)四方の箱に、1(mm)ぐらいのゴミのようなものが無数に付着するというイメージなのかもしれません。

 さらにウイルスは細胞膜がないので、そもそも生物とはいえないようです。それでいて遺伝子情報が含まれるDNAまたはRNAが内部にあり、どうやらその遺伝子を持ったまま、細胞膜を何らかの形で潜り抜けるようです。

 あとは細胞内の栄養物を使ってどんどん増殖するので、もぐりこまれた細胞はその性質を失ってしまいます。当然侵入の前段階で各種の免疫が働くのだと思いますが、そんなミクロの攻防が常時体内で行われているというのも実に不思議です。


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