東洋医学との出会い

 連れの親しい友人が東洋医学で有名な人を知っているというので、とりあえず話しを聞きに行きました。たいへん穏和な先生で、ある程度の問診を行ったあと症状を診てもらいました。

 その際「オーリングテスト」というものが行われました。これは不思議なテストで、片手に薬や体質的に合わないと思われる食べ物をのせ、もう一方の手の親指と人差し指を先端で合わせ、輪を作ります。

 この輪を患者以外の人が両手の人差し指を使って左右にぐっと開くようにするのですが、この開き具合が患者さんが持つ物質によって変わるという不思議なテストです。

 基本的には輪っかがしっかり閉じられているものは体に合っていて、簡単に開いてしまう物は体には良くないという考え方です。

 「そんな馬鹿な。左手に乗せる物で右手の力が変わるなんて変だぞ」と思いつつ、いくつかの薬や漢方薬で試してみると、確かに開くときの力の入り具合が違っています。

 「こんなんで薬の相性が分かるなら、すごく便利だな」と思いつつ、やはり100%信じることは出来ません。それでも先生は熱心にいろいろな物で試してくれ、少しでも疑いが出ないような配慮をしていました。

 その後、今度はベッドに寝かされ、全身のバランスを整える方法を教えてくれました。これは要するにだいたい人間の体はどちらかに傾いているので、それをストレッチによって直すというものです。

 そもそも立っている状態でも普通の人はどちらかの肩が下がっていたり、首が斜めになっていたり、足の長さが微妙に異なるため全体が傾いていたりします。

 そこでベッドの上で静かに短いと思われる方の足を、息を吸い込みながら伸ばしていきます。いっぱいに伸びたところで、ちょっと息を止めたまま保持。苦しくなる前に一気に息を吐き出しながら、伸ばしていた足の力を抜きます。

 これを数回繰り返します。また骨盤や肩、首といった部分も同じようなストレッチを行いますが、基本は自分が気持ちよくなる方向へストレッチすることで、必ず左右を行う必要はありません。

 ベッドの上で言われるままに数回ストレッチを繰り返していると、徐々にからだがリラックスしてくるのが分かりました。さらに先生は首筋を静かにもんでくれたりするので、ひじょうに良い気分になり、それだけでウトウトしてきます。

 さらに「アイロン療法」、別名温熱療法というものを教えてもらいました。ここ数年ですが、「体を温めると健康になる」とか、「低体温は病気になりやすい」というようなテーマを扱った書籍が何点か出版されています。アイロン療法は、こういった本が出版される何年も前から行われていたことです。

 ただ考え方の原点は同じようで、要するに血液の流れを良くして、免疫系を整えよう、という発想のようです。実際のやり方は簡単です。

 ワット数の少ない小さなアイロンを買います。これにタオルを撒いて、冷えている箇所または病気の根源的な部分が存在していると思われる部分を静かに暖めます。暖め方は特に指示はありません。上から優しくあてがっていれば良いと思います。

 私の場合は、やり方だけ教えてもらい、後は自宅で連れにやってもらいました。場所は先生から教えてもらいましたが、免疫系を鍛えると言うことで、胸腺を中心に行いました。

 胸腺というのはみぞおちのちょっと上にある硬い骨の部分で、ここでリンパ球の生産が行われていますが、これが免疫系に大きな影響を及ぼしています。そこでこの部分を温めて免疫系を強化しようという考え方です。

 また脾臓も免疫系には大事であるという指摘を受け、体の左、肝臓の反対側にあるので、この部分を温めるよう教えられました。さらに腎臓についても指摘を受け、結局胸腺、脾臓、腎臓の三カ所を中心に、その他冷えている部分や温めて気持ちの良い部分を中心に行いました。

 さて結果ですが、直接的にこれを行って症状が改善したという印象は受けていません。しかしこの療法を行う過程で体を温めると、なんとその刺激が足の裏に来ると言うことを発見し、足のつぼというものを再認識しました。

 具体的には、ある部分を温めると足の裏の特定部分がびりびりしてくるという印象です。もちろん不快なものではなく、「あ〜全身に刺激が行き渡っているんだなあ。気持ちいい」という感じでした。

 しかし上にも書いたように、劇的な症状の変化がなく、気持ちがよいと分かっていたものの、三ヶ月ぐらい続けたところで、いつのまにかやめてしまいました。アトピーの辛いところは症状改善が、なかなか顕著に表れない、ということです。



漢方薬、ステロイド剤


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