黄色ブドウ球菌が腐敗臭の元

腐敗臭を感じたら勇気を持って捨てましょう(2012.8.20)

 北海道のO−157事件に続いて、あちこちで集団食中毒が起こり驚いています。何に驚いているかというと、その腐敗したと思われる食べものを、腐敗していると判断せずに食べてしまう人が多いということにです。

 特に栃木県で起きた集団食中毒については衝撃を受けました。報道によれば、中学生のソフトボールとホッケーの大会で、約370人が食中毒症状を起こしたと言うことです。

 原因は二つの大会で提供された弁当のようで、豚肉が変だった(酸っぱい臭いがした)という中学生のコメントが毎日新聞19日付の朝刊に出ていました。

 酸っぱい臭いがした、というのは明らかに腐敗の兆候ですが、それをそのまま食べてしまうと言う感覚が怖いです。当時周辺には保護者の方もいて、同じ弁当を食べているようですが、保護者は気がつかなかったのか、それとも気がついても言い出せなかったのか気になるところです。

 腐敗臭は日常的にも、特に野菜や肉類で感じることがあります。もしその臭いを知らないというのであれば、安いバラ肉やひき肉を買ってきて、1日暖かいところに放置すれば、その臭いを経験できるはずです。

 一度臭いを経験できれば、次からはすぐに判別できます。考えてみると、腐敗しているかどうかの区別なんてのは経験しないと分からないものであり、そうでない場合は、親が子に受け継ぐものだと思います。

 私の場合は、親が何かを食べていて、「お、これは腐っている」とか「変な臭いがする」と言って嗅がせてくれたことが、知識や経験になっていると思われます。

 核家族化で、そういった味や腐敗の伝承すら絶えつつあるのかと思うと、今後も集団食中毒が起きる可能性が大きいなと思わざるを得ません。

 一方奈良県では、豪雨災害で孤立した住民に配られたおにぎりの一部に黄色ブドウ球菌が繁殖していたようです。しかしこの菌の場合は、腐敗と違い、臭いはしないでしょうし、味もあまり変化がないと思います。従って栃木県とは違い、食べても気がつかないわけです。

 と言うことは、衛生管理をしっかりしないとこれらの食中毒はO-157同様防ぐことが難しいと思います。手や調理器具に雑菌が存在することは当たり前で、その後の弁当の保管状態等、神経を使うところはたくさんあります。

 ちなみに手洗いしない手の表面には山ほど雑菌がついています。手洗いしても毛穴の中とかに雑菌は潜んでいます。調理をすれば、こういった雑菌が食品に付着するのも当たり前です。

 私の連れが抗ガン剤治療で無菌室にいたとき、面会にはひじょうに気を使いました。ともかく手洗いとマスクは絶対です。手に付いた雑菌が一番困るというのが、担当医の共通見解でしたから、手洗いはもちろん、見舞いに行っても妻の手を握ることすら躊躇われ、悲しい思いをしました。

 それほど手の雑菌は多いということです。風邪が流行始めた時、手洗いとうがい、と判で押したように言われるのもそのためだと思います。

 とはいうものの、だから手は汚いと思って過度に清潔にするのも、今度は逆に自らの免疫力を弱めるようで、あまりよくないような気がします。
 
 というようなことを書いていたら、昔私自身が小学生の頃、生クリームにあたったことを思い出しました。吐き気と下痢が夜遅くまで続き、その経験が食中毒への恐れとなって活かされているようです。

 ただその後そのことが一種のトラウマとなり、ケーキ類の生クリームがまったく食べられなくなりました。今もあまりおいしいと感じないので、なんと50年ぐらいその生々しい記憶を保持していることになります。



腐敗の識別


胃腸関係


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