多忙でコミュニケーション不足

「心の病」休職教員5274人(2012.12.30)

 ちょっと前の新聞記事ですが、25日の朝刊に『「心の病休職教員5274人』という記事が出ていました。

 記事を読むと、11年度に休職した教員は5274人で10年前の約2倍であると書かれています。これに対して文科省は「学級を一人で受け持ち、保護者との関係の悩みなどを同僚や上司に相談しにくい状況が依然あるのではないか」と分析しているそうです。

 休職者の年代別割合は50代以上が最多で2037人(39%)で、若くなるほどその割合は減少しています。

 個人的に感じることですが、ここに上がった数字は実際に休職した人数をカウントしているわけですから、現在職場にいながら「心の病」に悩まされている人は、この数の10倍以上いるのではないかと思います。

 50代に多いというのも特徴的ですが、この代はいわゆる学校の組織のまとめ役として活躍する年代ですね。学校の組織は、クラス担任がもっとも重要な職に思えるかもしれませんが、実際には成績関係や授業関係の計画を練る教務部、生徒の進路を考える進路指導部、生徒の生活規律を指導する生徒指導部という三つの重要な部署があります。

 さらにそれ以外にも、生徒の保健、健康関係を担う保健部、図書館等の運営に携わる図書部、災害に備えたり環境を整えるする生活環境部、保護者が組織するPTAとの会合を計画する渉外部等があり、最近はパソコンの普及に伴って様々なデータがコンピューター管理されるので、それらのデータの保守管理を担う情報管理部等の部署を設定する学校もあります。

 これらの各部のとりまとめ役である部長さんは、教職経験年数の長い人がつくことが多いと思います。また各部の構成員である先生は、担任や副担任が業務を分担します。

 さらにこれ以外に教員は部活指導というものがあり、放課後に生徒と一緒に部活を行ったり、経験のある先生は指導をしたりします。

 さらにさらに、これらの組織以外に臨時の委員会みたいなものがあり、教育課程や中学校との連携等、学校を取り巻く様々な問題を考えています。

 従って担任の先生は、教科指導を行うのはもちろんですが、クラス担任としてクラスをまとめ、朝の連絡、出席確認から始まり、放課後の掃除までクラスの面倒をみます。

 また学年の連絡会議に出席し、何らかの部署に所属しているのでそれらの仕事をしたり会議に出席し、部活動に顔を出し、大会参加の手続や文化祭等の発表の準備を指導し、委員会が開かれればそれらの会議に出席します。

 それでもこれらの仕事が日常的なきちんとした時間帯でこなせれば負担は大きくないと思いますが、学校というのは毎日のように突発的な問題が起きる場所で、それらの対応に時間を取られると、すべてのタイムテーブルがグズグズに崩れていきます。

 というわけで、特定の時間帯に仕事が集中することがあります。例えば放課後の掃除の時間帯に、生徒が怪我をした、喧嘩をした、いじめが発覚した、保護者が来校した、業者が来校した、書類の提出期限が迫っていた、会議が設定されていた等です。

 まあようするに四六時中忙しいということです。そんな中で、本来の職務である授業を準備する時間がどんどん削られ、その結果休み時間で時間のとれた教員はパソコンにかじりつき、授業の研究と様々な提出書類の作成に忙殺されます。

 結果的に私が今の学校で一番問題だなと感じているのは、先生同士の会話の時間が減ったなと言うことです。そうなると情報共有が出来ませんから、対応はさらに遅れ、教員自身の精神も病んでいくという悪循環に陥ります。


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