口蓋垂の存在理由

口蓋垂の役割(2013.5.17)

 口の中では、強力で固い歯によって食べ物が噛み砕かれ、充分な唾液によって食べ物の中のデンプン分子が分解され、小さな糖の分子に変わります。当然噛めば噛むほど、唾液量が多ければ多いほどこの分解過程がスムースに進むことになりますから、その先の胃腸での消化吸収効率が良くなります。

 しかも唾液量が多ければ、口中の食物はますますドロドロ状態になりやすく、そうなると舌の表面にある味蕾が活発に活動し、味をよく検出できる事になりそうです。

 また口の周りの筋肉が動くことによって、より唾液が分泌されるのはもちろんですが、それによって筋肉が鍛えられ、言語の滑舌が良くなると共に、思考力や集中力も高まりますので認知症等の予防にもなることが分かりました。

 簡単に言えば、美味しいと思われるものを丈夫な歯でしっかりと食べることが快感につながり、それが健康寿命を伸ばすと言うことだと思います。

 さてその次の段階ですが、口中でドロドロになった食物は舌の運動によって喉に運ばれます。風邪をひいて喉が腫れたりすると食べ物が通りにくくなったりすることから分かるように、喉の働きも大事だなと言うことは明らかです。

 そこで今度は咽頭のはたらきを調べてみることにしましたが、先ず普段口をあけて目に付くのは、喉の奥に見える垂れ下がった部分。「喉×××」という俗称もありますが、正式には「口蓋垂」という名前が付いています。以前からこの部分は何故存在しているのか、どんな働きがあるのかということが気になっていました。

 調べてみると、先ず正式名称の由来について書かれていて、要するに口に蓋をするために垂れているものということで、日本式の「のれん」や「すだれ」になるのかなと思われます。

 ではこれは何のために存在しているのか。蓋ですから誤飲を防ぐとか、外部からの細菌の侵略を防ぐというような意味があるのかなと思われますが、この部分が大きい人で切除した場合、誤飲をしやすくなったりとか風邪をひきやすくなったりするという実例はないそうですから、上記の役割は雰囲気としては分かりますが、実際にはそれほどでもない、ということのようです。

 というわけで、基本的な役割はほとんどなし、という情けない結論です。もしかすると盲腸のように進化の過程で必要なくなったものが形式的に残っているという器官なのかもしれません。

 ちなみに他のほ乳類にも、こういった喉の奥に垂れ下がった部分があるみたいですが、喉が直立している人間と、四足歩行の動物ではその角度が90度違う事になりますいます。

 ということはもしかすると、人間が直立歩行をするようになったために、これが徐々に必要なくなったと言うことなのかもしれません。



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