胆管とは肝臓と十二指腸をつなぐ管です

印刷所で胆管がんが発症(2012.7.11)

 印刷所における胆管がんの発症問題がクローズアップされてきました。厚労省に寄れば、現在発症事例は5都道府県17人(うち死亡は9人)に拡大したとのことです。

 そもそも胆管とはどこにあるのかと言うことですが、どうやら肝臓と十二指腸間をつなぐ管のようで、この中を運ばれているのが胆汁です。ただこの胆汁は垂れ流しにあるのではなく、途中に一時的にそれをため込む場所があり、それを「胆のう」と呼びます。

 胆汁は肝臓で作られますが、調べてみると何と驚いたことに1日に約0.6L(500mLのペットボトル1本より少し多い量です)分泌されるそうです。中味は何かというと、一つは胆汁酸という物質で、これが分泌されると脂肪の消化吸収を助ける作用があります。

 また必要のなくなった赤血球は肝臓で破壊されますが、その中の一部の物質がピリルビンという物質になり、最終的には腸内でウロビリノーゲンに代わり、さら酸化され黄色くなって尿として排出されます。
 
 というわけで胆汁は人間にとってなくてはならないものですが、この胆汁の通り道である胆管にガンが出来ると管の中に細胞が増殖するので、当然その分泌物の通過が阻害されます。

 と言うことは胆汁が出ない、ということになり、肝臓で出来たピリルビンという物質が血液中に多くなり、いわゆる「黄疸」という症状が現れます。これは目や皮膚が黄色く変色するので発見は容易です。

 またこれは上記記述からの私の想像ですが、胆汁酸が分泌されないので、脂肪の消化が出来なくなり食欲不振等の症状も出てきそうです。

 というわけで、大変危険なガンであると言うことが分かるわけですが、場所が場所だけに診断は難しいのではないでしょうか。新聞では超音波やCTを使って診断すると書かれていますが、当然血液検査結果等も併用されることになるのだと思います。

 診断が確定すると、一般的に治療は切除と言うことになりそうですが、初期ならともかく転移があるとその切除部分も大きくなり、危険も増大するようです。

 しかしそのようなガンが何故印刷所で発生することが多いのか。どうやら印刷所で使われている薬品に問題があるようですが、それは次のページでまとめてみようと思います。



ジクロロメタン、ジクロロプロパンの発ガン性


悪性腫瘍、悪性リンパ腫


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