国や行政の説明責任

福島の子供達の甲状腺検査結果(2012.8.22)

 8月26日付け朝刊を昨日見直していたのですが、1面に福島の子供達35%の甲状腺に、小さな「のう胞」や「しこり」が見つかったという記事を見てびっくり。

 内容を見てみると、検査結果は4段階に分かれているようで、「しこりやのう胞がない」:64.2%。「5ミリ以下のしこりや20ミリ以下ののう胞がある」:35.3%。「5.1ミリ以上のしこりや、20.1ミリ以上ののう胞がある」:0.5%。「すぐに2次検査が必要」:0%。という結果だそうです。

 で問題なのは、以下の二点にまとめられるような気がします。

@ これが福島原発事故の影響かどうかを確かめるためには、福島県以外の子供達と比較した調査が必要

 ということのようですが、他県ではこれまでそういった検査はしていなかったようです。一方福島県は「良性の小さなのう胞やしこりは通常でもよくある」と説明しています。

 しかし他県ではこれまでそういった検査はしていなかった、ということは、県担当者が「よくある」と力説する根拠が乏しいことをあらわしています。 主観的な意見や感想ではなく客観的なデータが必要です。

A 新聞記事では「しこり」や「のう胞」が甲状腺がんに発展する可能性があるのかどうか、説明がされていない

 子供を持つ親からすれば、一番怖いのは甲状腺がんです。チェルノブイリでは、4〜5年後に甲状腺がんが増え始めたという記載がありますが、その前駆症状としてのう胞やしこりがあったのかどうか知りたいところです。

 というわけで、他県との比較は今後行われるみたいなのでその結果待ちとなりますが、その間のう胞やしこりがあると判定された子供さんをもつ保護者の方は、相当気が滅入るのではないかと思います。

 そこで先ず「のう胞」とは何かということを個人的に調べてみました。新聞には「液体がたまった袋のようなもの」という説明が書かれていますが、何故そんなものが出来て、将来それはどうなるのかというような事がかかれていません。

 ウィキペディアで調べてみても、あまり詳しく書かれていません。新聞の説明とほぼ同じです。ただ大きくなったり、周囲と癒着するようなら摘出手術が必要とも書かれています。

 基本的には良性のものであるという記載が多いのですが、やはり継続的に見ていく必要があると思います。その意味では2年後にまた検査と言われても不安になるだけではないでしょうか。

 また「しこり」については、新聞紙上では小さな結節という説明が書かれているだけで、これまたのう胞以上にイメージしにくいものです。

 ただ私は肩こりを意識しますが、手で触ってみると肩の奥の方にグリグリが出来ている事が分かり、ゆっくりもみほぐしたり、ストレッチをしたりするとそれが少し小さくなることがあります。

 こういった塊をしこりと呼ぶのだと思いますが、そんなものが何故甲状腺内に出来るのかが不思議です。しかし現実にそんな塊があると言われれば不安になるのは当然です。

 ところが「のう胞」についても「しこり」についても、病気の実態の説明がほとんどなく結果だけが通知され、さらに次の検査は2年後というのでは、誰もが不安になるのは当たり前です。

 経過観察と他県の子供達との比較が必要だと言われているようですが、国の責任できちんと保護者の要望に答えられる体制を作るべきだと思います。またのう胞が見つかった子供達は経過観察も含めて親としてどうすればいいのか、ということも丁寧に説明する必要があると思います。



福島の子供に甲状腺がん、1名


悪性腫瘍、悪性リンパ腫


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