健康グッズは内部の薬品にも注意が必要

ウイルスプロテクターでヤケド事故発生(2013.2.19))

 すでにネットでも話題になっていますが、「ウイルスプロテクター」という健康グッズでヤケド事故を負う例が相次いでいるようで、消費者庁が使用中止を呼びかけています。

 商品は中国製で、事故は6件報告。国内で70万個以上販売されているそうですが、厚労省は自主回収を指導する予定だそうです。

 私はこの商品についてはまったく知りませんでしたが、いろんな事を考えるもんだなと感じました。そもそもいったいどんなものなのか。先ずはそこから調べてみると・・・

 首から提げたプレートの中に、漂白剤に利用される次亜塩素酸ナトリウムの錠剤が不織布に包まれていると言うことだそうです。

 さらに詳しい情報を探すと、アマゾンや楽天で売られていました。アマゾンの商品説明では、開封後塩素成分が漂い、ウイルスや菌を除去、消臭効果もあるとのことです。

 また食品産業でも次亜塩素酸ナトリウムが除菌効果を有効に発揮しているので、人体にも優しいと書かれています。またご丁寧にも「花粉」という文字もあります。アマゾンで、こういった説明をそのまま鵜呑みにして売っているとは驚きました。

 こういった健康グッズを購入するときは、実際の効果と、その使用によるデメリットを考えないといけないと思うのですが、次亜塩素酸が体に優しい、なんてのは信じられない表現です

 かつてサンポールという漂白剤が、他の洗剤と混ぜると多量の塩素を発生し問題になったことがあり、それ以来洗剤には「混ぜるな危険!」というシール?が貼られるようになりました。

 私は化学の実験で、わざとこのサンポールを使って塩素を発生させたりして、生徒にその臭いをほんの少し嗅がせ、花びらやサインペンの色を漂白したりしていますが、ともかくほんの少量のサンポールでも発生する塩素の量はひじょうに多く、中には臭いをちょっと嗅いだだけで咳き込みそうになる生徒もいます。

 塩素はこのようにひじょうに反応性が高い物質ですから、細菌と遭遇するとその細胞膜を破壊するため除菌に使われるわけですが、当然人間も細胞で出来ていますから、影響は大きいです。

 そんなモノを首から提げて歩くと言うことは、極端なことを言えば猛毒の塩素を首から振りまいていると言うことになりそうです。もちろん少量なら問題ないわけですが、問題ないような少量なら除菌の効果もない、と言うことになります。

 発想としては、このプレート周辺に漂うウイルスに対して塩素が除菌効果(殺菌効果)を発揮するというものだとおもいますが、塩素が直接鼻や喉に入ることも考えられ、私のような喘息持ちは絶対に使ってはならないグッズです。

 ましてや今回のようにヤケドが起きるのでは、善意で購入した消費者は踏んだり蹴ったりです。健康に良かれと思って購入するのだと思いますが、購入前に成分表示等をよくみてから購入することをおすすめします。

 もしウイルスが気になるなら、食事と睡眠と運動、ストレス解消に努める方がずっと良いはずです。
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