典型的な痛風と診断される

 必死の思いで階段を下りきったところで、病院に行くためには着替えなくてはいけないことに気がつきました。上半身はともかく、下半身が大変です。

 床に座り込んだ状態でパジャマを脱ぐわけですが、どうしても体のバランスを保つために左足が動いてしまいます。その度に全身を駆け抜ける痛み

 最初はあまりの痛がりように笑ってみていた妻も、だんだん冗談ではないということが分かってきて真剣な表情に。

 いつもの倍の時間をかけ、なんとか着替えが終了。しかし右足はともかく左足は腫れ初めていて靴下は履けません。「靴下が履けないということは、病院まで靴はどうするんだ」という事に気がつき、愕然。

 妻の車を玄関の真ん前まで回してもらい、最短距離にします。靴は履けないので、右足にサンダル。左足は素足でサンダルの左部分は車内に置き、その上にソ〜っと左足を載せます。

 ようやくの思いで出発準備完了。相変わらず頭の中では「どうしてこんなに痛いんだ。もしかしたら骨折以外の何かとんでもない病気では」という不安な思いがよぎりますが、「痛風」という二文字には全く気がつかないまま病院へ。

 病院までは車で5分。救急病院指定で昔から営業している、地域では信頼されている病院です。

 入り口でなんとか車を降り、片足立ちで壁により掛かって連れが車を駐車場に入れてくるのを待ちます。そもそも「痛風」の語源は、風が吹いても痛い、というものですが、思い返してみればまさにその通りでした。

 左足を宙に浮かして壁にもたれているところへ風がひゅ〜っと吹いてくると、途端に足がびりびり震えるような痛さを感じます。「お〜い、早く来てくれ〜」と念じつつ、風にあたらないような場所に片足で移動します。

 しかし片足で移動するためには、多少飛び跳ねなくてはならず、そうすると左足にどうしても加速度や力が加わり、その動作を行うたびにまたしても激痛です。

 ようやく連れが病院内から車椅子を持って出てきてくれたので、「よっこらしょ!」とかけ声をかけて落ち着きます。そのまま病院の受付へ向かいます。

 久しぶりの受診で、しかも外科なのか内科なのか良く分からず迷っていると、通りがかった年配の看護士さんが私の訴えと左足を一瞥した瞬間、「痛風ですね。内科を受診してください」という的確で素早い診断。

 「えっ!痛風?なんだそれ、骨折では?」と聞き返す私に、「典型的な痛風ですね」という、見事な判断がかえってきました。

 「痛風です」と断言されても、まだピンと来ません。この頃は40代半ば。「痛風」という言葉が存在していることは知っていましたが、60代以上の人がかかる病気であると認識していました。

 「痛風って、何だ〜?。こんなに痛くなって治るのかなあ?」と悩んでいる内に、ようやく順番が回ってきて車椅子で病室へ。

 担当した医師は私からの訴えを聞いた上で、「それではちょっとそこに横になって」と指示。痛い足をなんとか両手で持ち上げベッドに横になります。

 医師は足を一瞥。そっと触って「痛いですか?」と聞いていきます。当然メチャクチャ痛いので、「痛くてたまりません」と答えると、診察はそれで終了。

 診断は、やはり「痛風ですね。治りますから安心してください。とりあえず痛み止めを出しておきますね」

 「えっ!痛み止めだけなの」と怪訝そうな表情で見返す私に

 「1〜2週間様子を見て悪化するようなら再度受診してください。普通は1〜2週間で腫れも痛みも自然にひいてきます」とありがたいお言葉。

 「しかしその間仕事はどうするんだろう?」悩んでしまいますが、いかんせんこの痛みではどうにもなりません。

 それにしても痛い。そして有効な対処療法は痛み止めだけで、あとは自力回復だけのようです。その後、日常生活で注意すべき事を教えてもらいます。

 ともかく腫れがひくまでは、風呂はシャワー程度か患部をお湯に入れない。出来れば少し冷やす。アルコールは駄目。食べ過ぎも駄目。水を飲む。等のアドバイスを受けました。

 言われてみればここのところストレスがたまり、過食気味で、痛風には良くないとされるビールも痛飲していました。しかもその上に運動不足と来れば、体のどこかに変調が生じるのは当然かもしれません。

 医師の「治りますよ」という言葉にひとまず元気づけられて、いったん帰宅。すぐに痛み止めを飲んでおとなしく過ごします



痛風の原因


痛風の目次へ


表紙に戻る