肝臓障害や発ガン性があります

ジクロロメタンとジクロロプロパン(2012.7.12)

 そもそもなぜ胆管という特定の場所にガンが出来るのか。どうやら印刷所で使われている有機溶剤が怪しいと言うことになっているようですが、こういった物質を日常生活で扱ったり吸ったりすることはないのか。

 新聞の報道では、原因物質として疑われているのは「1,2−ジクロロプロパン」という物質のようで、印刷所ではインキを落とすための洗浄剤として使われているようです。また「ジクロロメタン」と言う物質も可能性が高いと書かれています。

 というわけで、早速これらの物質について調べてみました。先ず化学式が分かりやすいのは「ジクロロメタン」という物質です。メタンというのは、メタンガスとしても知られていますが、可燃性のガスで化学式はCH4とあらわされます。

 これはCすなわち炭素原子の周りに4つの水素がくっついた形(平面的には十字形、立体的には正三角錐の真ん中にC、各頂点にHがくっついた形)をしています。

 このうち1つだけ水素がはずれて、その代わりにクロロすなわち塩素Clがくっついたものが、クロロメタン(塩化メチルともいいますが)となります。化学式ではCH3Clであらわされます。

 ジクロロメタンは、「ジ」というのが「二つ」をあらわす言葉なので、二つの水素が二つの塩素に置き換わります。化学式ではCH2Cl2です。

 更にもうひとつ置き換わると、三つをあらわす「トリ」という言葉になり「トリクロロメタン」CHCl3となりますが、これは別名クロロホルムと呼ばれ、麻酔作用があることで有名です。

 さらにすべての水素が塩素に置き換わるとCCl4となり、「テトラクロロメタン」となりますが、一般的には四塩化炭素と呼ばれます。この物質は以前は消火器やドライクリーニングに使われていたようですが、クロロホルム同様麻酔性があり健康への影響が指摘されるようになり、現在は試薬としての用途以外ほとんど使われていないようです。

 で問題のジクロロメタンですが、ウィキペディアの記載では慢性毒性としての肝機能障害や動物実験での発ガン性が指摘されています。

 次に「1,2−ジクロロプロパン」ですが、原型はプロパンで、化学式はC3H8です。これはプロパンガスとして知られ、都市ガス以外の家庭で使われています。

 分子の構造は炭素Cが3つ直線的に繋がり、その周りに水素Hが8個くっついているのですが、その内2個の水素が塩素Clに置き換わると「ジクロロプロパン」になります。この時どの水素が塩素に置き換わったかというのを1,2−という数字であらわしています。従って化学式はC3H6Cl2となります。

 ウィキペディアにはすでに胆管がんとの関係に関する記述も見られますが、人間にはかなり影響の大きい物質のようで、神経や内臓(肝臓や腎臓)への影響が記載されています。

 というわけでこれらの物質は日常生活ではほとんど接触することのない物質のようですが、新聞の記述を見ると、法的な規制はあったもののほとんど無視されているという現状があるようですから、すぐにでも機械の稼働をストップするべきだと思いますが、いまのところまだ厚労省は調査するだけみたいです。  



抗ガン剤の効き目


悪性腫瘍、悪性リンパ腫


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