決めつける前に住民への詳しい説明を

福島の子供の甲状腺検査で1名にガンを発見(2012.9.13)

 福島県の甲状腺検査で、子供さんの一人にガンが発見されたという記事に衝撃を覚えました。記事は、甲状腺がんは被ばくから最短で4〜5年後に発症するというデータがあるため、原発から出た放射線によってガンが発生したという解釈は成り立たない、という論調で書かれています。

 まあ確かにチェルノブイリ等ではそうだったのかもしれませんが、ガンの発生メカニズムがきちんと解明されていない以上、どんなことも起こりうると考えて対処した方がよいように思います。

 最初から福島原発とは関係ないんだ、という判断を鮮明にされると、かえって反発を覚える人も多いのではないでしょうか。ではどうして発生したのか、という逆の質問をすれば、自然発生的にとかその他の要因でとなるのでしょうけど、ガンの発生には何らかの原因が有ると考えるのが一般的ですから、いきなり放射線は関係ないと断言されても不満に思う人は多いと思います。

 この間の調査ですが、これまで県は当時18歳以下だった約36万人の内8万人を調査したとのことですが、これは県全体の4分の1にも満たない人数ですね。つまり何も調査されていない子供達が28万人いるという事です。

 別に私は県の対応を責めてはいません。たぶん出来る限りの速さで対応しているのだと思います。しかし実質的に4分の1しか出来ていないという実態は恐ろしいです。

 この件に関して国や当事者の東電はどう思っているのか?なんだか県の対応に任せっぱなしであるような印象を持ってしまうのですが、気になります。

 さらに記事を読んでいくと、検査した8万人の子供達の中に、5.1mm以上のしこりや2.1cm以上の嚢胞が見つかったのが425人だそうで、その子供達に2次検査をおこなったそうですが、その検査を行った人数も425人中38人とかなり少ないですね。

 しかも38人中1人が甲状腺がん、27人が良性腫瘍というのは、普通に考えたら相当大きなパーセンテージに思えますので、それを福島原発の影響と結びつけるのは自然な流れであるような気もします。

 ただこの件については、他県の被ばくしていない子供達と比較をしないと、そのパーセンテージが本当に大きいかどうかは分からないので、大袈裟に騒ぎ立てるのも良くないなとは思います。また大多数が良性腫瘍であったという記述にも安心感を覚えました。

 とはいうものの、記事の内容も、この記事に関する様々なコメントの内容は、どちらかと言えば福島原発の影響があったのかどうか、あったとしたら記事の内容やデータが修正されたり、一部隠されていたりするのではないかという疑いのコメントが多いですね。

 しかし一番心配なのは、福島で現に生活している子供達本人で、さらにその子供達と共に生活している保護者の皆さんだと思います。

 私自身も含めて、ともすれば東電や政治家批判、そして県の体制や病院のコメントに対する不信感を、つい露わにしてしまいますが、その渦中にあって一番困っているのは、上記の子供達と保護者の皆さんだと思います。

 この方達に一刻も早く、分かりやすくて正確で正直かつ良質な甲状腺腫瘍に関する解説を行うべきかなと考えます。これは県が医療関係を担当しているなら、国が責任を持って行うべき事のような気もします。
 



悪性リンパ腫の治療


悪性腫瘍、悪性リンパ腫


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