内臓の働きと血液の流れ

アジの解剖実習で考えたこと(2013.1.11)

 1月の授業が本格的に始まっていますが、明日からは3連休なので、生徒も教員も、最初の疲れから若干解放されるはずです。

 私は今高校で3年生に生物を教えています。(専門は物理です)1年間、細胞から始まって遺伝、体の構造、神経や脳の働きということを教え、3年生の3学期は授業時間も少ないので、教室でやる授業ではなく、実験、それも簡単な解剖実習をやることにしました。

 今日はその第一弾。魚の解剖をやってみました。私自身は小学校でフナの解剖をした記憶がありますが、中学以降解剖なんてことはやったことがありません。ただ釣りが好きなので、魚の内臓を取り出すぐらいのことは出来ますので、解剖はその延長線だろうと考えて実施しました。

 材料は「アジ」。スーパーで生きの良さそうな物を買ってきてもらいました。1匹150円ぐらい。最近の子達というか若い人でも、家庭のまな板の上で魚の内臓を出す、なんてことはやらないみたいで、スーパーでもそれを承知しているのか、「下処理します」なんて書かれています。

 そのためかどうか分かりませんが、「魚に内臓がある」という基本的なことすら分かっていないのではないかという不安も感じています。魚は切り身や刺身しか食べたことがない、という生徒もいるようです。

 とうわけで、高校生ですが、先ずは口の中を覗いて歯があるか、舌があるかを観察。さらにえらぶたを持ち上げてえらの存在を確認。その後そのえらぶたの隙間から口まで隙間が続いていることを確認。これによってえら呼吸が可能になるんだという説明をして、調理時には背びれのトゲに注意することを教えました。

 続いて、しりビレ近くにある肛門の場所を確認し、そこからハサミを入れ、お腹を切り開いていきます。この間生徒は薄手の手袋をして行っていますが、出てきた内臓を触ることも出来ないみたいです。

 私が素手で「これが肝臓だよ」とか言いながら触ってみせると「キャーキャー」言っています。どうやら男女を問わず、素手ではまったく内臓を触ることは出来ない生徒が多いようでした。

 それでも心臓の位置や浮き袋の存在を確認し、最後に胃や幽門垂(消化器官の一種)腸、場合によっては卵の存在を確認し1時間の授業を終えました。

 実験室は魚屋さんの臭いとまったく同じ状態になりましたが、まあそれなりに生徒は内臓について自分の目で見ることが出来、満足したようです。

 命を大事にする、と言うことはひじょうに大切なことですが、時にはこういった実習を行って、命は何なのか、定義をすることは出来ないかもしれませんが、目で見て確認することによって、自分の内臓についても意識することが出来るのではと思っています。

 次回は「イカ」の解剖予定ですが、こういった生物の授業ともに、わたしはこの1年間、ガンについて同時並行的に調べてきたのですが、調べれば調べるほど、ガンというのは不思議な病気であり、その予防は体のすみずみまで血が常にサラサラと流れている状態が良いのだと確信するようになりました。

 生命維持に不可欠なのは水と食料ですが、それを栄養分の形にして運搬し、さらに外部からの侵入者を防ぐ免疫の働きを常に活性化しておくためにも、高血圧、低血圧、貧血、冷え、ストレスといった障害は出来る限り減らすべきだと言うのが、ガン予防に対する目下の私の結論です。

 解剖実習を行いながら、そんなことを考えていました。


がん細胞の非対称分裂


悪性腫瘍、悪性リンパ腫


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