ガン細胞を攻撃後のNK細胞

ガン細胞を攻撃したNK細胞が急減する理由(2013.6.20)
 

 今日の毎日新聞、健康欄の片隅に「東北大、NK細胞の急減解明」という記事が出ていて、今私は自分の連れが闘病生活を送った「悪性リンパ腫」についていろいろ調べているので、「おやっ」と思い記事を読んでみました。

 大変短い記事ですから1分もあれば読めると思います。内容ですが、我々の体内には様々な病気に対抗できるように、いわゆる免疫細胞があり、このブログでもこの免疫細胞を活性化することにより健康寿命を伸ばすことが出来るというように書いています。

 多くの健康食品が「免疫力を高める」という言葉を多用するのも、この免疫細胞の活躍によって、病気になってもすぐに治ると言うことを期待しているからだと思います。

 この免疫細胞ですが、実は白血球の仲間でリンパ球と呼ばれています。このリンパ球は血液やリンパ液、その間の体液の中に含まれていて、体全体を循環し異物の監視、排除という役目を持っています。

 その際、監視や認識、連絡、攻撃といった様々な役割分担が行われるわけですが、そのためにリンパ球はBリンパ球(B細胞)、Tリンパ球(T細胞)、NKリンパ球(NK細胞)といった種類に分かれ、それぞれの役割を担っています。

 この中でガン細胞等を直接攻撃しているのが、記事で取り上げられたNK細胞です。ではどうやって正常な細胞とガン細胞を見分けるのかということですが、記事に寄ればガン細胞表面に存在するある種のタンパク質(NK2GDL)を目印にするということのようです。

 つまりガン細胞の表面に、私はガン細胞の特徴を持っていますよと言うワッペンみたいなものがくっついているということです。ところが私は知らなかったのですが、このNK細胞がガン細胞を攻撃すると、このワッペンが攻撃中にNK細胞の表面に付着してしまうようです。

 するとワッペンのついた細胞はガン細胞だということで、他のNK細胞から攻撃を受け、正義の味方のNK細胞が同士討ちをして、攻撃力を弱めてしまうということのようです。

 他の新聞記事ではこれを「ドレス現象」と名付けて紹介しています。最初に悪者をやっつけたはいいけれど、その際に返り血を浴びて、その血が目印になって仲間から攻撃を受けるという時代劇のような戦闘が行われていると言うことです。

 しかしそうなるといくらNK細胞を供給しても、自分たちで同士討ちをしてしまうわけですから、肝心のガン細胞への攻撃がおろそかになってしまうわけで、そうなると最近話題になっている免疫療法の効果も限界がある、という結論になってしまいます。

 免疫療法の効きが思ったより悪いという現象もこれによって説明できるように思いますが、そこまで分かればなんとかそのタンパク質がくっつかないようにする、という医療技術が今後開発されるかもしれません。

 その意味ではガン治療にとって重要な発見だったのかなと思えます。


遺伝子情報のミスコピー


悪性腫瘍、悪性リンパ腫


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