高額な医療費を払って副作用

オプジーボには副作用がある(2016.7.14)

 人間が摂取するあらゆる食べ物に良い面と悪い面があると思っています。ただ一般的に誰もが食べるものは、良い部分が比較的多いので、誰もが安心して食べているわけです。

 しかしアレルギーに代表されるように、特定の食物の特定の成分で、激しく体が反応する場合があります。免疫系の過剰反応と一般的に言われています。

 私も喘息やらアトピーやら、アレルギー性鼻炎等々に悩まされてきましたので、免疫系の働きには関心があります。小さい時は猫が近づいてきただけで、目がしばしばし、鼻水が出て、息が苦しくなるなんて言う過剰反応も経験しています。

 しかし加齢に伴って免疫系は少しずつ衰えていくようです。いつの間にか激しい喘息やアトピー等の反応は起きなくなりました。もちろん花粉症等は感じますが、鼻水が出る程度で収まっています。

 時期的には今もそうですが、どうやら花粉だと思うのですが、喉がいつもムズムズして咳払いが続いたりします。風邪の症状と間違えることも多く、これはちょっと悩ましいです。

 いずれにしても年を取ると骨髄の働きが悪くなり、造血機能が衰え、その結果免疫機能も徐々に衰退。そんなときに、身体の一部に異常な細胞が生まれると、通常は免疫系の働きですぐにそういった細胞は駆逐されますが、高齢になると見逃される確率が増えていきます。

 そんな細胞の一部に強い自己増殖能力があると、それが悪性腫瘍と呼ばれるものに変化することになります。これに対して現在の人類は、X線等の放射線を照射して細胞そのものを破壊したり、異常な細胞の塊を外科的手術によって取り除いたり、抗がん剤で細胞の増殖を抑えたりして、何とか悪性腫瘍と戦ってきました。

 さらに最近は医学の発展により、がん細胞に目印をつけて免疫細胞で破壊するという分子標的薬の治療も行われています。

 そんな中、新たに画期的な作用機序を持つ薬として「オプジーボ」という薬が開発されました。これは以前書いたように、要するに免疫機能を高めて腫瘍細胞を破壊するという薬のようですが、昨日のニュースで「副作用もある」と伝えられてびっくり。

 免疫機能を強化するだけですから、激しい副作用はないのかと思っていましたが、実際には免疫系が活躍しすぎて、正常細胞まで破壊してしまうことがあるようです。

 なんだかアレルギー反応みたいだなと思いましたが、そう考えると人体が最初から持っている免疫機能は、悪い細胞だけを的確に見分けて駆逐する、実に素晴らしい機能を持っているんだなと逆に再認識です。

 それはそれとして、こういった副作用のことをきちんと理解して使用している医師なら良いわけですが、どうもそうでない医療機関もあったようで、そこで強い副作用が生じているということのようです。

 つまりはっきり言えば医師の勉強不足。日頃から体力の限界まで忙しそうに働いている医師だとは思いますが、そうなるとやる気のある医師ほど最新情報を勉強する時間もない、という矛盾が生じます。

 少子高齢化に伴って、悪性腫瘍の患者さんは今後ますます増え続ける気がします。一方若年層は減るわけですから、若い医師が育たないし増えないという矛盾もあります。

 さて私の最後の治療はどうなるのか?昨日市から健康保険税、いわゆる国民健康保険の掛け金の請求書が来ましたが、算出基準をトータルすると収入の2割弱(一人暮らしなら1割弱です)がこういった掛け金に費やされています。

 収入が300万なら年間30万弱でしょうか。しかし年金収入が100万ぐらいの一人暮らしの高齢者が10万弱掛け金を取られたら、残りは90万。それで生活ができるのか?

 医療環境はどんどん厳しくなるのに、医療費の負担は大きくなり、健康保険の掛け金で生活費が圧迫されるという矛盾した環境に陥る人が、今後どんどん増えそうです。



今年の新たながん患者数


悪性腫瘍、悪性リンパ腫


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