細胞膜には柔軟性があります

細胞膜が硬くなると体も硬くなる?(2014.1.25)


 我々は動物ですから、その組織はいわゆる動物細胞から出来ています。一方植物は植物細胞から出来ていますが、両者には明確な違いが二つあります。

 一つは細胞内に葉緑体があるかないかです。当然動物はこれを持っていません。(持っていたら、太陽の下で光合成が出来て、これで体物質を作ることが出来るので便利そうにも思えますが)

 そしてもう一つが、細胞を一つの入れ物として考えて、外側を囲っているものの存在です。一般的にはこれを細胞膜と呼んでいます。

 植物にもこの細胞膜があるのですが、実はその外側にもう一つ細胞壁という膜があります。つまり動物は1枚、植物は2枚の皮のようなもので囲まれているわけです。

 植物に何故細胞壁があるのか?というのは進化上の問題かなと思いますが、私にはよく分かりません。ただこの細胞壁は「壁」と書かれているように、「膜」よりも硬いイメージです。

 実際動物のような骨格を持たない植物が、自立して成長して茎を伸ばしていくためには、自分自身の体の形を細胞でレゴブロックのように積み上げていくしか方法がありません。

 この時個々の細胞の形が定まらなければ、植物はグズグズの細胞の塊になってしまいます。というわけで、細胞壁は細胞膜より硬くなることによって、茎や幹を作っていくと言うことです。

 一方細胞膜の方はどうかというと、これは本来かなり柔軟性に富んでいるのでは思われます。
 
 単細胞生物の代表格として生物の最初の方の授業で良く例に出されるのがアメーバです。この生物を顕微鏡で見ると、実に面白い動きをしています。

 体の一部が飛び出し尖っていったかと思うと、その場所に全身が引っ張られるように移動していきます。アメーバは単細胞生物ですから、体の外側を囲っているものは細胞膜であり、これが自在に伸縮して移動するわけです。

 一方我々の人間の体の中を流れている赤血球も細胞の一つですが、体の末端の毛細血管に達すると、自らの体を折り曲げて、自分の直径よりも狭い毛細血管をすり抜けていくそうです。

 つまり細胞膜というのは柔軟性に富んでいると言うことです。しかしこれが何らかの影響で柔軟性を失ってくるとどうなるか?

 赤血球は末端で詰まりがちになり、それを無理に押し流そうとして心臓が頑張るため血圧が上がります。

 筋肉中の細胞の柔軟性が失われれば、筋肉全体が硬くなり、力は入りづらく、俊敏な動きも出来なくなりますので、全体として動きが鈍くなり、我々はそれを体が硬くなったと感じるのではないでしょうか。

 つまりミクロの細胞レベルで細胞膜の弾力性が失われると、マクロのレベルでは「体がかたくなったなあ」と感じるのではないかと思えるわけです。

 ということは、細胞膜に若いときとと同様な柔軟性があれば、血圧はそれほど上がらず、体はやわらかく、生き生きとして健康的な体になるということです。

 問題は、ではどうしたら細胞膜の柔軟性を維持することが出来るかです。しかしこれを考えるのは荷が重いです。何故なら細胞膜の組成を考えて、それが加齢と共にどのように変貌していくかをか考えなくてはならないからです。
 


細胞膜の構造


老化関連


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