体を構成する細胞の大きさ

 細胞の大きさから話を始めようと思ったきっかけは、人間は細胞の集合体であることをほとんどの人が知っているからです。

 それ以外に、実は単細胞生物という語句に代表されるように、この細胞が1個だけで出来ている生物も世の中には多数存在していて、それらの生物は生物としての最低条件を整えていると考えられるので、人間と比較するのも面白いと考えました。

 またそれらの単細胞生物が生きているということは、細胞内で様々な化学反応が進んでいるということで、そういった化学反応のスケールということにも注目してみたいと思っています。

 というわけで、先ずは前ページの内容のまとめですが、要するに人間の細胞の大きさは0.005(mm)ぐらいから、一番大きな卵子で0.15(mm)ぐらい(資料によっては0.2mmぐらいと書かれている場合もあります)までの幅があるということです。

 さらにもう少しネットでこういった細胞の大きさを調べてみると、以下のような数値が見つかりました。(あえてmmという単位を使って書いています)

 神経細胞、平滑筋細胞、骨格筋細胞:約0.1(mm)

 人の精子:0.06(mm)

 人の肝細胞:0.02(mm)

 白血球:0.006〜0.02(mm)

 赤血球:0.0005〜0.002(mm)
 
 まあ要するに、一般的には0.01(mm)前後と考えることが出来そうです。ということは、以下のような計算が成り立ちそうです。

 手のひらを開いて、そこに直径0.5(mm)と書かれたシャープペンシルの芯を垂直にあてて、黒い点を打ちます。

 直径が0.5(mm)の円ですから、その面積は0.25×0.25×3.14=約0.2mm2となります。

 一方皮膚細胞の大きさを一辺0.01(mm)の正方形とすると、その面積は0.01×0.01=0.0001(mm2)となります。

 ということは、直径0.5(mm)の黒い点の中に、皮膚細胞は0.2÷0.0001=2000個存在していることになります。

 そんな小さな細胞1個1個が日夜活動して、細胞分裂を繰り返しているわけですから、そういった観点からも、実に生命とは不思議なものだなと思えます。

 では次に考えることは何かというと、そういった小さな細胞の中はどうなっているか?ということです。

 実は今から半世紀弱ぐらい前、私は高校1年生でした。1年生では理科はどんな授業をやるのかなと思っていたら、最初は「生物」ということで、冒頭から細胞の構造図が出ていました。

 ところが、当時はまだ細胞の構造を正確に確かめられるほどの高精度の電子顕微鏡がなかったようで、教科書の記述は、動物細胞の場合、「細胞膜」で一つの細胞が囲まれている。

 その内部には「」と呼ばれる部分がある。その核の中には「細胞分裂」が行われるとき紐のような物体が現れ、これが染色液によく染まるので、「染色体」と呼ばれている、というようなことが書かれていました。

 またこの染色体には「遺伝子情報」も含まれているということが分かっていて、「DNA」や「RNA」という言葉も試験に出そうだということで必死に覚えた記憶があります。

 またそれ以外の特別な組織として、呼吸を行っている「ミトコンドリア」という面白い名前の物質があるとか、当時はまだ良くその機能が解明されていなかった「ゴルジ体」や「小胞体」といった言葉も一応そのとき覚えましたが、どんな働きがあるのか良く分からないとされていたように思います。

 しかしそれから50年近くたって、今の生物の教科書を見ると、実に詳細な記述があり、「何だかこれは、医学書か?」と思えるほど、生物学は発展してきました。

 ただ生物学は飛躍的な進歩を遂げましたが、当たり前ですが、細胞の中に含まれている物質は同じです。

 というわけで、次のページから、細胞内の構造についてまとめていきたいと思います。


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