水分子の大きさ

 私が持っている高校の化学の資料集には、水分子の大きさは一辺が0.1(nm)(ナノメートル)で間の角度が105度ぐらいの二等辺三角形であると書かれています。
水分子の形
 ペイントと言うソフトで手書きしたものを右に掲載しますが、中央にあるのが酸素、その両側にあるのが水素です。

 この酸素と水素の間の距離が、0.1(nm)ということなのですが、ではナノとはどういう単位なのか? 

 実は単位には接頭語というものがあります。たとえば良く使う「k」(キロ)という単位は、1000倍を表す接頭語です。

 従って1(kg)は1(g)の1000倍の1000(g)となり、1(km)は1(m)の1000倍の1000(m)となります。

 この接頭語は、大きな数字をあらわすときに良く使われますが、「k」(キロ)の次が「M」(メガ)、さらに「G」(ギガ)となり、コンピューターの記憶容量で500(GB)(ギガバイト)と書いたりします。

 一方小さくなると、1000分の1が「m」(ミリ)で1(mm)は1(m)の1000分の1ということをあらわしています。

 化学の世界では重さを1(mg)(ミリグラム)とか、体積を1(mL)(ミリリットル)と表したりします。

 そしてさらに1000000分の1、すなわち10-6分の1を表す接頭語が「μ」(マイクロ)となり、1(μm)(マイクロメートル)のことを1ミクロンと呼んだりしています。ようするに0.001(mm)という長さのことです。

 さらに10-9分の1になると「n」(ナノ)という単位で表しますので、1(nm)(ナノメートル)は小数点で表せば0.000000001(m)=0.000001(mm)という大きさになるわけです。

 ということは上記の水分子の一辺の長さは0.0000001(mm)という長さに相当することになります。

 これに較べると、細胞の大きさが仮に一辺10(μm)すなわち0.01(mm)の正方形だったとしても105倍=100000倍違うことになります。

 つまり水分子1個の1辺の長さを仮に分かりやすいように1(cm)とすると、細胞の大きさは100000(cm)、すなわち1000(m)または1(km)というサイズになるということです。

 さらに言えば1(km)四方の正方形の中に1(cm)程度の大きさの水分子が無数に入っていると言うことになります。(もちろん他の物質も入っています)

 我々が飲んだ水は大腸から吸収されると言われていますが、たとえばコップ1杯180(mL)の水の中には6×1024個の水分子が含まれていることが分かっています。

 というわけで、水分補給とか言って水をごくっと飲んだ瞬間に、大量の水分子が喉から胃に流れ込んでいくわけです。

 さらにその水分子は小腸や大腸に達し、その内壁を取り囲む細胞から吸収され、血液やリンパ液を通して腎臓等に運ばれることになるのかなと思っていますが、その際に水は腸の内壁を構成する細胞の細胞膜を通って吸収されることになります。

 ということは一辺1(km)ぐらいの巨大は箱があって、その箱の壁すなわち「細胞膜」を1(cm)ぐらいの水分子が透過していくということになります。

 もちろん、細胞膜を通過するのは水分子だけでなく、その他の栄養物や無機物も透過していると思われます。

 ではこの細胞膜の構造はどうなっているのか?どうやって水やその他の物質を選択して透過させているのか?

 自分ではまったく意識せずに、単に水をごくりと飲むだけで、体の方が勝手にその水を適正な場所に運搬し、適正な化学反応を行い、生命を維持しているわけですが、ミクロの視野とマクロの視野を同時に考えていくと、実に巧妙なものだなと感じます。

 さらに言えば、食べ物を食べたときの栄養素がどのように消化吸収され、必要な組織に運搬され、そこでどのような化学反応が生じているのかということが明らかでないと、この食べ物が体に良いという評価は出来ないような気もします。

 これは健康食品にも共通することで、含まれている成分がどのように吸収され、どういった反応が体内で生じているのかということがよく分からない現状では、飲んでみたら良かったとか食べてみたら体調が良くなったという、感覚的な印象に頼らざるを得ず、それが薬と健康食品を分けている理由であるようにも思います。



生物の構造と細胞膜


健康を考える基礎知識


表紙に戻る