唾液の成分とその働き

 話はちょっと変わりますが、認知症になりやすい人の条件というのがあって、第一は遺伝子そのものの問題。

 しかしこれは自分ではどうにもなりません。またその遺伝子があるから必ず認知症になるわけでもなさそうで、逆にないからならないと言うわけでもなさそうです。

 さらに脳の血流を調べていると、一部の血流が少ないと言う現象が見られるそうです。では脳の血流を増やすにはどうしたらよいか?

 これは実は簡単で、何かを一生懸命考えたり、行動したり、要するにアクティブに活動すると言うことが大事だと言うことです。

 従って、足を使って動き回り、おいしいものを食べ、家族や隣人と会話を交わし、音楽を聴いたり読書をしたり、趣味に没頭したりすることが大事だと言うことです。

 逆に言えば、1日中何もする意欲がわかず、もしくはすることがなく、ぼっ〜と何も考えずに過ごし、機械的に同じ生活を毎日送っていると脳への刺激がなくなるということで、認知症になりやすいと言うことです。

 というわけで前ページからの続きになるわけですが、おいしいものをおいしいと感じながら食べると言うことが大事であって、機械的に食事の時間だから食べると言うのはよくないということになります。

 そして食べると言うことを楽しむために歯の存在が欠かせないと言う結論になり、さらにいえば歯のケアが大事であると言う、歯医者嫌いの私にはまことに都合の悪い結論になります。

 というわけで話を戻して、口の中に食べ物が入ったら、先ず歯で機械的な咀嚼が行われます。同時にその動きが引き金になって、唾液が滲み出してきます。

 ではこの唾液の成分はいったいどんなものなのか?私もこれまで真剣に考えたことがないので、ちょっと興味を持ってネットで調べてみました。

 するとまあいろいろあるんですね。びっくりです。もちろんその大部分は水です。その役割は、当たり前ですが口の中を綺麗にするのが第一。

 そして食物中の糖や塩分を溶かすとともに、食物自体を溶かして飲み込みやすくするという働きがあります。

 ではその唾液の中にあらかじめ溶けている成分にはどんなものがあるか?私が持っている高校の生物の授業で使う参考資料には、「アミラーゼ」「マルターゼ」と言った物質名が書かれていますが、これは「消化酵素」と呼ばれているもので、加水分解酵素と呼ばれる場合もあるようです。

 では酵素とは何かと言えば、自分自身は化学変化しないのに、それが存在することによって他の化学反応を促進するという、まことに都合の良い物質です。

 この二つでは特に「アミラーゼ」という消化酵素の働きが重要視されていて、「でんぷんの分解」となっています。

 そこで今度は「でんぷん」とは何か?ということ気になってきます。調べてみると、グルコース(ブドウ糖)が一直線上に鎖のように結合したものとなっています。

 グルコース(ブドウ糖)は基本的に六角形の構造をしているので、でんぷんというのは、一種のタイルみたいなものが直線的に結合していると考えれば良さそうです。

 このグルコースは、動物にとってのエネルギー源ですから、なるべく摂取した方がよいわけですが、その際食べ物として存在する形はでんぷんとなっているようです。

 そこで我々はでんぷんを食べ、それをアミラーゼの作用によってグルコースに分解するということを口の中でやっていることになります。

 小学校から高校にかけて、この「アミラーゼ」という物質の性質を調べるために、いろいろな実験が実際に行われています。

 どんな実験かといえば、これは簡単。お米と言うのはその約7割がでんぷんですから、口にご飯を入れてひたすら咀嚼すればいいわけです。

 すると口の中に唾液があふれ、その唾液中のアミラーゼがご飯のでんぷんに作用し、唾液中の水分を使って結合していた鎖を切り、グルコースに戻します。

 グルコースはブドウ糖と言われているように、砂糖の成分ですから、当然口の中にグルコースが生じればほのかに甘く感じます。

 これによって口(唾液)の中にアミラーゼという酵素が存在し、それによってでんぷんがグルコースに分解されることを簡単に確かめることができます。

 但し分解されるのはごく一部のようで、実際には小腸に達したあたりですべてがグルコースになって吸収されるようです。

 生じたグルコースは、小腸内壁の細胞で吸収され、血液中に運搬されると思われますが、長期入院で栄養不良になった患者さんにブドウ糖の点滴を行うのは、こういった理由からだと思われます。



唾液の成分(2)


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