アトピーと自然食品、そして家庭菜園へ

 自然食指向が強まり、食べ物の内容に気をつかうようになりましたが、では気をつかってそれらを避けることが出来るかというと、スーパーで食べ物を購入する以上限界があります。

 一方自然食品を扱っている小さなお店やレストランの情報も仕入れ、折に触れてそのような店から購入したりするようになりましたが、これらのお店の品物は、やはり手がかかるのか価格的に高価です。

 また手に入る物も限られていて、すべての食品を自然食品に頼るのは限度があります。というわけで再び話しは振り出しに戻ります。

 しかしそれではアトピーの解決には結びつきません。そこで考えたのが、いっそのこと野菜は自分で作っちゃえ、というものです。これなら農薬を使わずにすみます。肥料だって化成肥料は使わずにすますことが出来ます。

 最初の頃書きましたが、私の祖父は農家でしたから、野菜を作るという血筋は受け継いでいます。「そこで早速」といいたいところですが、その頃住んでいたアパートにはほとんど庭という物がなく、日当たりもあまり良くありませんでした。

 それでもやってみないことには始まらない、と考え、庭の一角をシャベルで掘り起こし、試しにビール用の枝豆やサラダ用のキューリの苗を植えてみました。

 最初の年は肥料なし、農薬ももちろんなし、手間は気がついたときたまに水をやる程度で、草もあまり気にしませんでした。

 ところが、もともと誰も畑として使っていなかった土だったため、かえって養分が蓄えられていたようで、予想に反して、ちゃんと枝豆が出来、キューリも出来ました。

 「なんだ、こんなに簡単にできちゃうのか。植物はすごいなあ」と思いつつ、枝豆を茹でて食べてみてびっくり。ともかく味が濃い。これが本当の枝豆だったんだ。じゃいつも食べている枝豆は何だったんだと考え込んでしまいました。

 キューリも同様で、収穫のためにつかもうとするとトゲの痛さにびっくり。包丁で切るときも、その切れ味に感動。そして自然なキューリらしい味にまたまた驚愕。以後家庭菜園へのチャレンジが始まりました。

 自家製野菜のおいしさに目覚めた私は、40代になり、本格的に家庭菜園を始めました。たまたま家の近くに農園を貸してくれる場所があったので、早速申し込み、ジャガイモなんぞを植えてみました。

 農園を貸してもらう際に、そこの農園を管理している人も紹介してもらい、ジャガイモの植え方も手ほどきしてもらいました。種芋の切り方、土の堀りかた、肥料(鶏糞)の使い方、土のかぶせ方、芽かきなんぞの方法をアドバイスされ、言われるままに植えました。

 結果は信じられないほど大きなジャガイモがごろごろ採れました。土を掘っていくと、スーパーで売っているジャガイモとは比べものにならないほど白い肌のジャガイモがあらわれ、畑から宝石の原石を掘り出しているような錯覚を覚えました。

 食べてみると、先ずはジャガイモらしい味の濃さと、包丁を使ったときの切れ味に感動です。新ジャガのうまさは格別です。これ以後収穫したジャガイモを1年中食べるようになり、スーパーでは冬場にストックがなくなったときだけ買うようになりました。

 その後、植える野菜の種類はどんどん増え、定番のキューリ、ピーマン、トマト、ネギあたりの誰でも作れる野菜から、自分で種から苗を作って、ブロッコーリーやレタス、キャベツ、白菜も植えました。しかしブロッコリーや白菜はモンシロチョウの幼虫との闘いが大変です。

 そこまで自分でやってみて、これほどの手間が必要だから自然食の野菜は高くなるんだなと納得がいきました。同時に自分で作れる野菜はなるべく作ろうとも思い、それは今でも続いています。

 家庭菜園を作ることによって、野菜の農薬や添加物の摂取はかなり減らすことが出きたと思います。しかしベジタリアンではないので、肉や魚も欲しくなります。これはある程度やむを得ないのかなとも思いますが、無闇に安い肉だけは避けるようになりました。



養殖ハマチ


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