水道水の残留塩素とアトピーの関係

有機物と塩素の反応(2011.7.11)

 塩素というのは、いろいろなものと簡単に化学反応を起こす物質です。有機物との反応でも、たとえば高校の化学の教科書に出てくる簡単な有機物としてメタンがありますが、この化学式はCH4です。

 要するに中心に炭素があって、そこから四方に向かって4本の結合の腕が伸びていて、その先端にそれぞれ水素が付いています。

 ところがこの水素は、近くに塩素があると、これまた簡単に塩素原子と入れ替わります。4つの水素の内1個だけが入れ替わると塩化メチルCH3Clと言う物質になり、2つが入れ替わると塩化メチレンCH2Cl2、3つだとCHCl3クロロホルム、4つとも入れ替わるとCCl4四塩化炭素になります。

 ただしこの反応は通常は温度が高い状態でないと起きません。そんなに簡単に起きる反応ではないので、通常の皮膚についても同様のことが言えると思います。

 で何を言いたいかというと、脂肪酸という物質は、このCがいくつか鎖状につながり、そのまわりに水素がくっついた形をしているの以前昨日書いたように水道水の残留塩素によって、水素が取れ塩素が結合し、まったく別の性質を持った物質が出来ると言うことです。

 そもそも我々の体を構成している基本元素は炭素であり、そのまわりに水素や酸素、窒素がくっついてアミノ酸やタンパク質になり、それらがさらに細胞を作っているわけですから、皮膚が塩素に晒されて良い影響を産むわけがありません。

 しかし一方で水道水を殺菌するという利点もあるわけで、これらの利点と欠点のバランスを取った含有量が、今の水道水の水質基準になっているといえそうです。

 ついでながら遊泳用プールの水質基準ですが、法律では残留塩素濃度は0.4(mg/L)以上で、1.0(mg/L)以下であることが望ましいとされているようなので、実際にはもう少し濃度が高いのかもしれません。

 また学校では多数の児童生徒が利用するので、必要に応じて次亜塩素酸等を追加投入する場合もありますので、濃度がさらに濃くなる可能性があります。


再び残留塩素とアトピーについて(2011.7.12)

 それはそれとして、皮脂が水道水の残留塩素と反応し、本来の皮脂とは違う物質になってしまうと、上皮を防護する機能が衰える可能性があるように思えます。

 そうすると角質が剥き出しになり、今度は角質と塩素が反応したり、角質と空気中の成分や汗の成分が反応する事も考えられます。

 またアトピー患者の角質は、厚さが一般の人より薄いらしいので、皮膚表面の物質は直接真皮と反応する可能性もあります。

 というわけで、プールやシャワー中の残留塩素によってアトピーが悪化する可能性があることが少し分かりました。しかし実際には皮膚の表面が損傷するだけで、塩素そのものがアトピーの原因ではないようにも思えます。

 なお残留塩素を含む水道水を飲んでいる現状はどうなのでしょうか。基本的に水分は大腸で吸収されますが、上記の理由でやはり大腸を構成する細胞には余りよい影響を与えないのかもしれません。

 となると、塩素は出来るだけ避けた方がよいという結論になりますので、残留塩素濃度が濃い(水源の水質が良くない場合や夏場)地区では浄水器を使った方が良いことになります。

 シャワー等は短時間で済ませ、お風呂は出来ればすぐに入らないで、くみ置きするとか、少しずつ足して使うとかすると良いのかもしれません。



衣服の繊維とアトピー


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