汗の成分とアトピー(2011.7.24)
繊維とアトピーの関係を調べて分かってきたのは、繊維そのものの分子構造や糸としての柔軟性、表面のざらつき、布としての織り方等が、 皮膚表面との接触によりなんらかの影響を及ぼしあうというのが一つ。つまり布の構造や表面の形状の問題。
もう一つが吸湿性や透過性、すなわち汗の問題です。さらに昨日は静電気についても指摘をしました。というわけで、今日はあらためて汗について調べてみようと思います。
汗が出る理由ですが、誰もが知っているのが体温調節。これは汗の成分の大部分が水であるため、これが皮膚表面から蒸発するとき皮膚から熱を奪うことを利用しています。
つまり汗が蒸発することによって、皮膚の温度が下がり、それが体温調節機能となってはたらくわけです。逆に言うと、水を飲まなかったり、汗の出が悪いと、体の中の熱を逃がすことが出来ず、夏場では体温が上昇し熱中症になります。
従ってアトピー患者としては、痒くなることを承知の上で、やはり水は飲んだほうが良いと思えます。
その上で汗の成分を調べてみると、水99%、残りがミネラル、乳酸、尿素だそうです。ミネラルと言うのは、人体を構成する炭素、酸素、水素、窒素以外の元素のことです。具体的には、人間の汗にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれているようです。
乳酸と言うのは何かと言うと、化学式はC3H6O3で表される物質で、人間の体内では、主に筋肉の活動後に出てくる物質です。
つまり運動をすると筋肉が酷使され、筋肉中のブドウ糖が化学反応により消費されます。その際に出てくるエネルギーで筋肉が収縮したりするわけですが、最後に乳酸が出来るということです。
最後に尿素ですが、これは化学式CH4N2Oで表される物質で、人類が無機化合物から始めて有機化合物を合成した例として大変有名です。
基本的には、その名のとおり尿中に含まれます。これは要するに人が食べた食べ物の中にある不必要な窒素を、尿の中に溶かし込んで排泄するという意味です。
尿中に含まれということで、嫌う人が多いかもしれませんが、実は皮膚の保湿性を高める効果があるため、スキンケア剤として広く利用されています。つまり尿素はアトピーには良い、ということになります。
乳酸と皮膚の角質との反応(2011.7.25)
尿素は皮膚に保湿性を与えるということで、アトピーには良さそうです。とすると汗が出て痒くなる原因は他の物質にありそうです。怪しいのはミネラルですが、その前に怪しくなさそうな乳酸のことを一応調べてみます。
乳酸は昨日も書いたようにエネルギーを生み出したあとに出来る物質です。これが皮膚表面に汗と一緒に滲み出したとき、角質と反応するのかどうかということです。
そこで、グーグルを使って手「乳酸 角質」と入力してどんなページがヒットするか見てみると、約48万件がヒット。そして驚いたことに、1ページ目に表示されたサイトのほぼ全部がなんらかの化粧品関係のページです。
ということは女性の皆さんはすでに乳酸と角質のことは知っているわけですね。私は今改めて調べてみるまでまったく知りませんでした。
で、どのページも同じように見えるので、とりあえず第1番目のサイトに飛んでみると、「角質の結びつきを緩める」という1行があり、2番目のサイトでは「乳酸の・・・・角質除去効果」とあり、3番目のサイトは「乳酸が角質におだやかにはたらきかけ」とあります。
要するに乳酸という物質は角質に何らかの形で働きかけ、角質を柔らかくし、代謝を活発にすることにより、よみ瑞々しい肌を作り上げるということのようです。
しかしこれはアトピー患者の目からすると、かなり大きな影響を及ぼすように思えます。つまりアトピーの患者の角質は人より薄く、刺激を受けやすい状態になっているはずです。
そこへ汗や化粧品の乳酸が作用すると、薄い角質がさらに薄くなります。一般の人ならその裏側から新しい皮膚が作られ、きれいな皮膚になるのかもしれませんが、アトピーの場合、薄い皮膚がさらに薄くなり、刺激を受けやすい状態になるといえそうです。
つまり肌がガサガサしているから、きれいな肌にしようと乳酸入りの化粧品やクリームを使うと、アトピーが悪化する可能性があるということになります。
まとめると、汗をかくと、その成分の乳酸が角質と反応し、角質がはがれやすくなり、さらに皮膚が薄くなって刺激を受けやすい状態になるというのが今日の結論です。しかしそれだけで痒くなるとも思えません。