汗で皮膚に接している金属が溶けます

猛暑の汗による金属アレルギーに注意(2013.8.17)

 15日の毎日新聞朝刊に「金属 汗で溶けアレルギー」という記事が出ていました。私は腕時計の金属によるアレルギーで、夏場は時計をはずしていると書きましたが、まさにこの話の解説記事です。

 原理ですが、夏場は汗をかきますので、その汗の中の成分によっ金属が溶けるというのが第一段階。しかし汗が金属を溶かすなんて、正直信じられない人もいると思います。

 そこで汗の成分を調べてみました。するともちろんその時の体調にも寄るわけですが、基本的には99%が水分で、残りの1%の中の大部分が塩化ナトリウムや塩化カリウムのようです。

 要するにうす〜い食塩水ですね。目一杯運動したあと、皮膚が乾くと表面に白っぽい塩の結晶がでてくることでも分かると思います。

 で問題は、このうす〜い食塩水の中では、塩化ナトリウム(NaCl)や塩化カリウム(KCl)といった物質はイオンの形で存在しているということです。

 特に問題なのは塩化という部分で、これは塩素の化合物を表しています。塩素は水溶液中ではマイナスイオンという、マイナスの電気を帯びた物質になっていますが、これは他の金属とひじょうに反応しやすい性質があります。

 無機化学の参考書や解説書の索引で、塩化なんとかという物質を探すと、本当にたくさんの化合物が見つかります。そしてそれらの大多数は、「塩化〜〜〜」という名前で表されています。「〜〜〜」の部分には金属名が入ります。

 そこで第二段階。汗をかいた近辺に金属があると、簡単に言えば、その金属を薄い塩酸に浸したような状態になり、金属が溶け出してしまうと言うことです。

 ところが普通の人は金属が溶け出しても別になんの反応も起きません。しかし私のようなアトピー持ちの人は、溶け出した金属が金属イオンとなり、それと皮膚が反応してしまうと言うことです。これが第三段階。

 新聞記事では、皮膚が反応しやすい金属としてニッケル、クロム、コバルトといった金属名が上げられています。

 ところが我々が身につけている金属の多くは、いわゆるいくつかの金属を溶け合わせた合金なので、その金属にどんな物質が含まれているのかまではよく分かりません。従って使っている内に分かって来るという情けない結果になります。

 ただ新聞記事に寄れば、上記の物質はネックレス、ピアス、メガネフレーム、ベルトノバックル、皮革製品、化粧品等に含まれているそうですから、アトピー持ちは装飾品にも注意が必要です。

 さらに新聞記事では、私が長年疑問に思っていた食品についての記載もあります。すなわち上記の金属成分を多めに含む食品があると言うことで、当然食べ過ぎれば体全体に症状が出る可能性があります。

 具体的にはチョコレート、コーヒー、豆類、貝類、レバーだそうですが、チョコレートは確かに反応があるなと常日頃から感じていました。(糖分や油脂のせいかと思っていましたが、金属成分も関係すると言うことが分かりました)

 一方、塩素イオンがあっても溶けにくい金属もあります。これらはアレルギーを生じない可能性が大きいです。

 具体的には金、白金(プラチナ)、銀、チタン等です。ただしアクセサリーの場合、製造過程でアレルギーを起こしやすい金属を混ぜたり、塗ったりすることがありますから、純度の高いものでないとアレルギーを起こす可能性があります。

 というわけで私は金の腕時計をすればいいわけですが、それはとても買えませんので、夏場は腕時計なしということになります。

 その昔、金属フレームが剥き出しになった眼鏡をかけていたことがありますが、耳の上が痒くなったことを思い出しました。あれも金属アレルギーだったということです。



ニッケルによる金属アレルギー


アトピー(2)の目次へ


トップページヘ