ピレスロイドは神経に作用します

殺虫剤 ピレトリンの歴史と作用(2012.6.28)

 殺虫剤の成分について調べています。いわゆるキンチョールに入っている成分はピレスロイド系と総称されるようですが、これの元になっている物質は除虫菊という植物から抽出されるピレトリンという物質であることが分かりました。

 そこで先ず「除虫菊」について調べてみると、白い花弁の真ん中に黄色いおしべ?がある、ごく普通の雑草のように見えます。我が家の近くの私の散歩コース(高麗川の河川敷)には山ほど咲いています。

 今の時期にはこの花に蜂やカナブン、蝶がとまって、いかにも自然が豊富だなあという感じで、虫が好きなのでずいぶん写真も撮影しています。この花、第二次世界大戦前には専門的に栽培していた時期もあったようです。

 ちなみに殺虫成分は花に含まれているようですが、花の状態ではあまり虫には効かないみたいで、花そのものを乾燥し、粉末にすると殺虫効果が表れるみたいですね。

 日本ではこの粉末を線香の成分に練り込むことによって、いわゆる蚊取り線香ができたということです。また虫に効くわけですから当然農薬等にも使われたわけですが、この物質の特徴は光や酸素に対して不安定で、空気中に放出された後は短時間で分解してしまうため農薬には向かなかったようです。

 またこれを生産するために大量の除虫菊を必要とするわけで、生産性としても効率が悪いことになり、徐々に天然のピレトリンは使用されなくなり、合成ピレスロイドが研究され、現在の殺虫剤となったようです。

 と言うことは現在の殺虫剤成分は光や酸素に対しても安定であってなかなか分解せず、殺虫効果が持続すると言うことになりますが、それが果たして人体にとって良いことなのか疑問が湧きます。

 この点についてネットで調べてみると、ウィキペディアでは「ピレスロイドは哺乳類・鳥類に対する毒性は比較的低く、昆虫・両生類・爬虫類などには強力に作用するため、人畜防虫剤として有用である。」と書かれています。

 しかし元々のピレトリンも大量に使われると、皮膚への影響、喘息、吐き気、下痢、頭痛、知覚麻痺等の症状が現れると書かれていますから、当然その効力を高めたピレスロイドも人体への影響は大きいはずで、それが「直接吸入はしないように」という注意書きの根拠になっているように思います。

 ただし上に書いたように、ピレトリンは昆虫・両生類・爬虫類に対して選択的に作用するという部分が、殺虫剤としての地位を高めています。

 この作用について調べてみると、これらの動物の神経に含まれるナトリウムイオンに関係する部分に作用し、神経系の情報伝達を阻害するそうで、瞬時に効果が表れるものの、その後再び回復することもあります。

 ゴキブリ君なんかに噴射すると、すぐに足が震えだしたりして歩行困難になりますが、その後しばらくすると復活することも多いです。

 私は天井等にゴキブリ君がはりついていて手が届かないときは、ほんの少量ふきかけて、ヨロヨロして落ちてきたところを叩いて駆除していますが、少量の場合は床に落ちてすぐに動き出すこともあり、結構しぶといなと思います。

 まあゴキブリ君も、たまたま色や形が不愉快で、さらに不衛生なので駆除の対象となってもしょうがないとは思うのですが、虫好きの私は出来れば殺生はしたくないなと思っています。


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