見事に同じ時期に芽が出ます

ジャガイモの生長から、生命の不思議さを感じます(2014.4.10)

 消費増税に対する節約と運動を兼ねて、家庭菜園を行っていますが、ちょっと前に蒔いた葉物野菜の種から双葉が出て徐々に大きくなってきました。

 もうすぐ3月に植えたジャガイモも芽を出しそうな気配です。芽を出すときは、土がほんの少し盛り上がって、割れ目が見えてきます。不思議なもので、私の周りでも家庭菜園を行っている人がいっぱいいるのですが、違う時期に植えたジャガイモも、ほぼ同じ時期に土の中から顔を出してきます。

 つまり我が家に限らず、そこら中の家庭菜園で、一斉にジャガイモの芽が出てくるということです。気温の影響だろうなあとは思いますが、どうやって気温を察知しているのか不思議です。

 普通に考えれば種ジャガの皮を構成する細胞の中のある種の成分が、ある温度になると化学反応を起こし、そこから生じる物質が芽を出せ、細胞分裂を行え、という指示の引き金になるのかなと思います。

 そうすると細胞分裂を行えという指示が出た瞬間から、芽となる部分の細胞が活発に増殖を始めるということです。このとき増殖するためには、材料が必要です。

 その材料は、最初は種シャガを構成している芋そのものだと思いますが、芽が出て根が出ることによって、今度は種ジャガを取り巻く土の成分から、栄養分を吸収することになります。

 実際よく育ったジャガイモを掘り出すと、最初の種ジャガはしわしわになっています。つまり内部の栄養分が初期の成長に使われたということです。

 その後は根からの吸収になりますが、このとき水があると土の栄養分を水の中に溶かしやすく、また水そのものの利用価値も大きいので、根がどんどん発達するということになりますが、最初は種ジャガ本体の栄養であり、そこから徐々に根に移行していくという過程も、よく考えれば実に不思議な現象です。

 これらの移行過程は、植物には脳がありませんから、種ジャガを構成している細胞の中にそういった成長の計画書がうまく格納されていて、それが気温というきっかけで次々と計画書通りに展開していくわけです。

 同様のことが、人間の場合も受精卵に生じ、最初は受精卵という1個の細胞が、その大きさのまま小さな細胞に分割(卵割といいます)しますが、ある時期になると、突然ここの細胞が役割を分担し始め、ある細胞は神経になり、またあるものは骨格や筋肉、さらには内臓や血液になる、という何とも不思議な過程で成長していくのが我々人間です。(生物学では分化と呼んでいます)

 ただし植物もそうですが、成長過程における確率的な揺らぎにより、両親から受け継いだ個性がさらに後天的に変化し、1個の人間ができあがっていくわけです。

 これらのほとんどの過程が、最初は1個の受精卵から始まっているというのは、驚嘆すべき出来事であるような気がします。生命とはいったい何か?そもそもそういったことを考えることが出来る意識とは何か?まじめに考えると本当に不思議です。


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