視床下部と自律神経

 「視床下部」というのは、脳の中央下部(両耳の間)に位置していて、自律神経や内分泌機能等の調整を行う中枢的な部位です。大きさは1cmぐらいです。脳の一番奥深くに位置していますが、それだけ重要な器官だと言うことです。

 たった1cmの大きさの器官が、生体全体のバランスを保つためにはたらいているというのは、想像するだけでも驚異的です。生命維持のための重要器官です。

 自律神経の調節というのが一つの役割ですが、自律神経とは「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。片方が副という名前なので従属するようなイメージですが、実はこれは対等な関係にあるものです。

 その役割は、互いに反対の働きをもっていて、交感神経系はどちらかというと興奮度合いが高いとき、または高めるとき、副交感神経は興奮を沈静化したり、寝ているときなどにはたらきます。

 具体的には闘争本能が喚起されるときは「交感神経」がはたらき、読書や睡眠、音楽鑑賞といった時には「副交感神経」がはたらきます。

 実際にはそれぞれの度合いに応じて、視床下部からホルモンが分泌され、これが生体の器官に行き渡り、体全体のバランスを保ちます。

 交感神経は外部からの刺激によって一時的に興奮状態に陥ったりしますが、通常はその後穏やかに収まっていきます。そして夜になれば、今度は副交感神経系がはたらいておだやかな眠りが訪れるはずです。

 ところが常に緊張状態を強いられたり、本来なら穏やかな気持ちに落ち着くべきときに、さらなるストレスが加わったりすると、徐々に神経のバランスが崩れていきます。

 この過程は自分ではなかなか気がつかないようです。実際私も今年の初めにこのような状態になったとき、最初は「なんとなく体調が悪いなあ」、「今日も仕事か、面倒くさいなあ」と思いつつ、「まあこれぐらいなら我慢できるし、あと少しでこの状態も終わるだろう」なんて思いながら出勤していました。

 しかし、今振り返ってみれば、この時期はもうすでに相当ストレスをため込んでいた時期だと思われます。そしてこんなときは、今のように冷静に自分を振り返って、「ストレスとは何か」なんて考えている余裕もなくなっています。

 知らず知らずのうちに落ち込んでいく、という悪循環です。そんな状態を周囲の人が気づいてくれればいいのですが、自分一人で仕事を抱え込んでいるような場合は、周りも気をつかって声をかけなかったりするので、状況はますます悪化します。

 ストレスをためこみ始めたときの症状は以下のようなものだそうです。

・疲れを感じる事が多い、やる気が出ない、集中できない

・夜よく眠れない、朝起きられない、気がかりなことがある

・食欲不振、食べ過ぎ、飲み過ぎ

・ため息が出る、投げやりな気持ちになる、憂鬱、外出が面倒

・肩こり、頭痛、胃痛

・体重減少

・イライラ、怒りを感じる、我慢を強いられている、攻撃的

・仕事上のミスの増加、遅刻の増加、職場の人間関係に疲れている、仕事への評価が低いと感じる、過剰な期待

・金遣いが荒い、経済的に不安

 当時を振り返ると、該当する項目があまりに多く、びっくりです



体調不良の症状


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