個々の病気への医療ではなく
総合医療の観点で

体全体を1個の生命として考える(2012.5.12)

 私の専門は物理なのですが、今年はどうゆう分けか「生物」を教えることになり、4月はず〜っと細胞の授業をしていました。

 5月に入り、細胞膜の授業になり、生物は細胞膜を通して細胞内外で物質のやりとりをしているんだ、と説明。説明しながら、「そうかあ、もしこのやりとりがうまくいかなければ、細胞のはたらきは弱くなり、生物全体として見たとき、不健康な状態になるのかもしれないな」と考えていました。

 細胞膜というのは細胞を取り巻いている袋みたいなもので、この中に遺伝子を含んだ核や、エネルギーを産み出すミトコンドリアなどが入っています。

 地球上に最初に生まれた生物は単細胞生物だったと思われますが、この場合は細胞膜が直接外の世界に接していたわけで、その膜を通して栄養素を吸収していたことになります。

 その後生物が徐々に進化をしていくと、単細胞生物が寄り集まり多細胞生物になっていきます。それでも細胞数が2〜10個程度なら、球状または直線上につながっていれば単細胞生物と同様に細胞膜を通して栄養素のやりとりが出来ます。

 ところが100とか1000のオーダーになってくると、周り中を細胞に取り囲まれた細胞が現れるわけで、そうなるとその細胞は外の世界から直接栄養素を取り込むことが出来なくなります。

 それを解決するためには、細胞同士が物質を橋渡しするか、細胞自体で管のようなものを作って、その中を外部の栄養素が流れるように工夫をすればいいわけです。

 そうやって多数の細胞が集まって管のようなものを作っていった結果、やがてそれが体内に張り巡らされた血管に発展していくのかなと感じました。(専門家ではないので想像です)

 さらに血管内を栄養素がスムースに流れていくために、取り込んだ栄養素を分解したりすることが出来るようになり、これが内臓に相当するのかなと思えます。

 さらにさらに、どこに栄養が不足しているとか、多すぎるかと言うことを感知して、それを体全体の総合情報としてとらえ、生命を維持しているのが脳や神経系かなと思えます。

 従って健康を維持するためには、ある部分だけを治療してお終い、というのでは、モグラたたきのようなものにしかならないなあ、と感じるようになりました。

 つまり1個の生命として、体全体のトータルな視野で考えていかなければいけないのではないか、ということで、血圧が高いのも、アトピーが出るのも、喘息が出るのも、痛風を発症するのも、実は相互に関連があると考えてもいいのかなということです。

 そう思ってネットを見ていたら「総合医療」という語句が出てきました。心と体のトータルヘルスケアだそうです。さらに患者本人だけでなく、家族や家庭環境も含めて、自然治癒力を引き出すというのが目的のようで、私自身が考えているイメージに近いなと思いました。



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