高齢者が増えれば食糧問題が・・・

生殖が終わった生物の行方(2012.11.5)

 生命の本質は子孫を残すこと、と定義してしまうと、人間が長寿を目指す行動をどう解釈するのかという部分で疑問が湧いてきます。

 例えば身の回りにはいろいろな生物がいますが、昨日書いたようにゾウリムシのような細胞分裂で増殖を行っている生物以外は、時期が来れば命を失います。

 植物も動物も、もちろんその中に含まれる人間も寿命があります。ただその中で人間だけが意識的に少しでも寿命を延ばそうと奮闘している印象があります。

 その理由はすぐに分かると思いますが、人間だけが意識や知恵というものを持ってるからだと思います。他の動植物は、意識して健康な生活を送ろうと工夫するようなことはありません。要するに大脳の新皮質が発展した人間だけがこういったことを考える余裕があり、それに従って行動していると言うことです。

 その結果近年飛躍的に寿命が伸びてきているわけですが、だとすれば他の生物はほとんど寿命が延びていないのかということも気になります。

 ネットで調べてみたら1980年から飼い犬の平均寿命を調べている方がいらっしゃいました。その方のデータに選れば、1980年代に5歳前後だった平均寿命が、近年14歳前後にまで増えていると言うことのようです。

 犬は自分で長生きしようという意識はないと思いますので、これは栄養状態、害虫、病気等の影響が大きいと思われます。

 人間の場合も飢餓や病気といった負の要因が改善されるにつれ、徐々に寿命が延びているわけですが、近年はさらにあらゆる病気を克服して、さらに駄目になった組織をiPS細胞を作成して入れ替えよう、という動きになりつつあります。

 そうやって長寿を達成することは、学問的に素晴らしいことであり、意識の上でも「できるだけ長生きしたい」と希望する人間の気持ちを代弁しているように思えますが、生物学的に見るとはたして良いことなのか?

 極端な話、人間が生殖期間は現状と同じ50歳ぐらいまでであるにも拘わらず、その後500歳まで生きたらどんな社会になるのか。SFめいた話ですが、最初に起きる問題は食糧問題かもしれません。

 いつまでも亡くならないと言うことはいつまでも食べ続けるということで、それは若い方たちの食料難に直結するはずです。そうすると繁殖が出来ませんから、その種は自然に滅亡する、ということになりかねません。

 それを避けるために生物の掟として、激しい老化や予期しない様々な病気が発生する可能性があるなと思えます。

 ちなみにこの文章を書いていて、今の日本の少子高齢化によって、すでに年金が破綻しつつありますが、これと同じような事だなと思えます。つまり年寄りが増えれば増えるほど年金原資が減り、それを稼ぐ若い人は相対的に減るということです。

 だから高齢化社会は間違っていると言いたいわけではありません。兼ね合いが難しいなと感じています。



体力測定をしてみると


健康寿命を伸ばす


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