ディオバンの降圧効果について(2013.7.13)
新聞では連日のように、降圧剤「バルサルタン」(ディオバン)のデータ操作が問題になっています。本来の降圧効果以外のデータを操作し、本来持っていない薬効を付け加えることによって薬の価値を高め、売り上げを伸ばしたと言うことが問題になっているように思えます。
私自身がこの薬を日頃から常用していることもあって、関心を持って眺めているのですが、であるならばデータ操作をした以外の、本来の降圧剤として働きはどうなっているんだろう?という疑問を持ちました。
いまのところ降圧効果についてデータが操作された記事はないように思えるのですが、最近薬剤の量を減量したこともあるので、あらためてディオバンの降圧効果について調べてみることにしました。
今「NOVARTIS」が作成したと思われる「ディオバン」のホームページを見ているのですが、この中の「医療関係者のみなさま」というページのFAQに「ディオバン単独投与の降圧効果、効果発現時期は?」というページがありました。
これによると、ディオバン80mgを1日1回8週間投与した場合、収縮期血圧(高い方)は−13.1mmHg下がり、拡張期血圧(低い方)は−11.5mmHg下がるというデータが示されています。
正直なところ、意外に少ないなと思いました。と言うことは上の血圧が160の人がこれを服用すると146.9になり、下の血圧が100の人は88.5になると言うことです。実際にはもっと効果があるような気がするのですがどうでしょうか?
ではこの薬の持続時間はどうなのか?これもFAQのページに出ていますが、基本的には24時間効果は継続するそうで、さらに本態性高血圧患者の場合、連続投与していると、最終服薬32時間後まで血圧低下効果があると言うことのようです。
だとすると1日飲み忘れると、翌日の後半は上がって来るという結論になり、2日目の朝方はかなり高くなる可能性もあります。そのあたり、飲み忘れたら昼までに服用とか、それ以降は飲まなくて良いというのが一般的な指針のようですが、2日目の朝上がる可能性があると言うことは、冬場等は注意が必要だなと感じました。
次に減量した場合の効果の比較ですが、以下の通りです。(単位はmmHg)
10 | 40 | 80 | 160 | |
収縮期血圧 | −3.6 | −7.0 | −11.1 | −11.9 |
拡張期血圧 | −4.9 | −6.5 | −8.2 | −9.1 |
これを見ると一目瞭然ですが、やたら量を増やせばいいと言う考え方は間違いですね。また少量でも意外に効き目は大きく、さらに言うと、今回私は60から40に減量しましたが、その差はそれほど大騒ぎするほど大きくないと言うことです。
ついでに今回調べていたページの他に、同種の薬剤の効果を比較したページもあり、それを見ると降圧剤としての効果は、ディオバンはそれほど大きくないような事も書かれています。
そういった背景もあって、今回のデータ操作問題が出てきたのかなとも思えます。(付加価値を付け加えることによって売り上げを伸ばそうと言う意図です)その意味では製薬会社の販売競争に、患者が巻きこまれていると考えざるを得ません。