胸腺は10代を境に退縮します。しかし人間の寿命は80歳ぐらいです。20代以降胸腺は徐々に衰えるようですが、だとしたら逆になぜ80歳まで生き延びる事が出来るのか、不思議です。
マウスの実験について書かれているページを見つけました。出生直後のマウスから胸腺の摘出を行うと、マウスは免疫不全に陥るそうです。
しかし成熟したマウスから胸腺を摘出しても免疫系に影響は出ないと書かれています。理由は成熟した個体には、様々な病原菌に対する免疫の記憶が残っていて、末梢でも異物に対して記憶に基づいたリンパ球を作ることが出来る、ということのようです。
つまり人間の場合も20歳ぐらいまでに一通りの免疫の基本が出来ていて、それ以降は胸腺が衰えてもそれまでに蓄えた記憶がどこかに存在し、異物が侵入してもすぐに免疫の生産体制に入れるということだと思います。
そんな記憶がどこに存在しているのか、またしても疑問が出てきましたが、それはちょっとおいて、となると人間の免疫というのは20代までにおおよそ作られていると言うことになります。
そうなると20代以降にまったく新しい異物が体内に侵入したときは、これを排除するのがひじょうに難しいという結論になります。また20代までに充分な免疫が出来ていない場合、年齢を重ねるほど免疫不全の症状が現れる確率が高くなるともいえそうです。
そう考えると、俗な言い方ですが、20代ぐらいまではいろいろな病気にかかって抵抗力をつけたほうがよいという結論になってしまうのですが、実際の所どうなんでしょうか。
人間を20歳になるまで無菌室に入れて、突然雑菌がうようよいる普通の生活に放り込むと、その人間は免疫がうまく働かず、すぐに生命の危機を迎えてしまうのでしょうか。
昨今、何でも清潔がいいという風潮がありますが、20代ぐらいまではむしろ雑菌にまみれる生活をしたほうがいいような気もしてきます。
一方、胸腺を退縮させない方法の一つとして「胸腺マッサージ」という方法があるようです。これについてはネットで検索するとたくさん出てきますので、興味のある方はそちらを参考にしてください。
また胸腺の「温熱療法」というのもあります。これは私自身が連れと共に1年間ほど実施しました。夜寝る前にみぞおちの上部を、布を撒いた低温のアイロンで温めるというものです。
効果があったのかどうかは比較対照がないので分かりませんが、この部分を刺激されるとひじょうに気持ちがよいことは分かりました。
気持ちが良いというのは、その生体にとって好ましいということになると思うので、私には適合していたのかもしれません。実際この頃からアトピーは軽快の方向に向かったような気もします。
いずれにしても退縮するとはいえ、できればここで次々とリンパ球を生産してもらいたいと考える以上、一番良いのは健康的な生活をおくることではないかと思います。
つまり体によい、添加物の少ない食品を食べ、農薬の少ない野菜を摂り、規則正しい生活を行い、睡眠を充分にとり、ストレスを貯めないことが酵素の効果的な分泌を促し、それが免疫力の維持につながるのかなと考えています。
しかしそれでも人間の生理が激変する時期、すなわち思春期や更年期は体のバランスが狂う時期ですから、いろいろと問題が生じるのかもしれません。
私の妻は悪性リンパ腫という病気で1年半前に他界しましたが、年齢的に見てちょうど更年期の時期と重なっています。この時期だけは特に意識して健康管理に努めないといけないのかもしれません。