意識がなければストレスを感じない

人間の意識とストレスの関係(2013.11.17)


 私の現在の仕事は非常勤講師で、高校で物理を教えています。ただし最近の理科の教員は選択科目が増えたこともあり、物理が専門であっても、化学や生物や地学を教えることもあります。

 そんなわけで私自身も何回か生物を教える機会があり、その度に人間の体というのはなんと巧妙なメカニズムで出来ているんだと驚嘆させられています。

 ところが近年の生物学では、その驚嘆するようなメカニズムも、詰まるところ遺伝子と、その指示によって作り出され各種のタンパク質やホルモン、酵素と我々が外部から取り込んだ食べ物の化学反応によって維持されているという事も分かってきました。

 つまり簡単に言えば、我々生命とは単なる化学反応のかたまりであると言うことです。

 しかし一方で、自分の命が化学反応のかたまりであると言うことを意識できる人間の脳というのは、さらに不思議な存在だなと思わざるを得ません。

 「心はどこにあるのか?」と生徒に質問したことがありますが、大多数の生徒は頭を指さします。私もそうだと思っているのですが、では「どうしてそこにあると感じるのか」「どうしてそこにあることを知っているのか」と考えると、途端にあやふやになってきます。

 そもそも思考を担当している脳みそが我々の日頃の生活を支えているという知識がありますから、その知識によって、そこにあると認識しているのかもしれません。

 しかし「足の指はどこにある?」と聞かれると、ほぼ100%の人が足の先を指さすことは出来ても、「盲腸はどこにある?」と聞かれて、その場所を的確に指し示すことが出来る人は少ないように思います。

 と言うことは、「どこにある?」という問に対する答は、我々は視覚の情報から得ているようにも思われます。つまり目で見て存在と位置を確認すると言うことです。

 もし視覚に障害があれば、たぶん触ってみて(触覚)認識すると思われますので、要するに何らかの物理的な情報を得ることによって位置を確認しているのだと思います。

 しかし盲腸はどこにあるのか?と聞かれても、実際には見ることが出来ないので、詳しい場所は分かりません。ただし盲腸の場合は形は分かっているようですからレントゲンや超音波、場合によっては開腹手術をすることによってその位置は分かります。

 しかし心はどこに位置しているのか?これまで毎日目で見て耳で聞いて匂いを嗅いでというように外部の情報を処理しているわけですが、それは脳全体の働きであって、特定の部位ではないような気もします。

 つまりの脳全体の統合的な働きによって、我々は外界を感知し、その刺激によって思考を展開しているわけで、その思考によって、ある場合は精神的な分野の変調が起き、それがもとで体の不調が起きることになります。

 つまり思考という意識によって、体の健康状態に揺らぎが起きると言うことで、もしかしたらこれは意識というモノを意識している人間特有の現象なのかなと言う気がしてきました。

 うまくまとまりませんが、つまり意識を持つ動物だからこそ、ストレスを感じやすいという結論になるのかなと大脳の断面図を見ながら考えています。


体調不良の主因


ストレス


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