圧力の定義と単位

大気の圧力について(2013.4.10)

  血圧について一から考え直してみようと思っているのですが、そう思ったらいろいろ不思議なことに気がつき始めました。しかしそれはまだもう少し先の話になりそうです。

 先ずは圧力です。血圧と言うのは文字通り血液の圧力を計っているわけですが、数字は知っていても圧力の意味をきちんと把握出来ている人は少ないようにも思います。

 圧力と言うのは、ある面積に加わる力を示していますが、ある面積と言う定義は曖昧なので、1cm×1cmの正方形を考え、そこに何kgの力が加わっているという数値で表すのが一般的です。ただしこれは物理や化学で使われる単位です。

 一方地学や気象関係の用語として気圧と言う語句を良く使いますが、これは大気の圧力を意味しています。そしてこの定義を元にして高気圧(空気の圧力が大きい場所)、低気圧(空気の圧力が小さい)という語句を定義して、これの動きによって天気を予想しているわけです。

 ところが実際に天気予報を聞いていると、「今日の日本は1.02気圧の高気圧に覆われて」なんて言う気象予報士は一人もいません。強い台風が近づいているときも、「0.95気圧の台風が・・・」という言い方はしません。

 一般的に使われる語句は「1020ヘクトパスカルの高気圧が・・・」とか、「960ヘクトパスカルの大型で強い台風が・・・」という言い方をしています。

 というわけで、圧力の単位と言うのはその場その場で使い分けられることが多く、それが混乱に拍車をかけているように思えます。

 そんなわけで、いきなり面倒くさい話になっていますが、通常我々が地上で生活しているとき感じている大気の圧力はだいたい1気圧です。

 この1気圧はヘクトパスカル単位で1013ヘクトパスカルになります。ということは950ヘクトパスカルの台風と言うと、その中心付近では通常より気圧が5%ほど低くなっていると言うことで、こういった台風が急激に近づくと、喘息患者は症状が悪化したりします。

 またこの1気圧と言う単位を、冒頭のkgを使った単位に換算すると、約1kg/cm2という値になります。この単位を素直に読み取ると1cm2あたり1kgの重さで大気は我々の体を押していると言うことになり、実はものすごく大きな値です。

 我々人体の構造は、そういったもすごい大きな力で周り中から締め付けられているわけで、その圧力に耐えるために、骨格が作られ、筋肉や腱でそれを覆い、周りからの圧力に耐えていると言うことになります。
 
 では血圧で使われる100mmHgとはどういう単位なのか?これを次回のテーマにしようと思います。



mmHgという単位


高血圧の基礎


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